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学校 第72回卒業証書授与式 校長式辞

式  辞
 ただいま、普通科 三百四十二名、商業科 七十八名のみなさんに卒業証書を授与いたしました。
 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 心からお祝いを申し上げます。

 さて、卒業される皆さんの心の中には、この三年間の思い出が去来していることと思います。
 一年生では、入学式に始まり、別院研修、日帰りではありましたが京都での本山研修、
耐寒長距離走大会などの行事を通して、大谷生としての自覚が高まったことと思います。
 二年生では、思い出に残る、楽しく充実した九州への修学旅行がありました。
 三年生は、各自の進路への取り組みとともに、あなたたちが中心となって作り上げた、体育祭、文化祭や、ソフトボール大会などがあり、立派に参画し、一生懸命取り組んでくれました。
 あなたたちと過ごした三年間の一つ一つのことが、私も同じように思い出されます。
進路の悩みを校長室
で打ち明けてくれたこと。
 新しくなった学校案内の写真撮影の折には、それまで話す機会のなかった生徒の皆さんから親しくしてもらったこと。
 「洗心の窓」の講話の時にはブルーハーツの曲を熱唱した私に、手拍子で盛り上げてくれたこと。学期ごとの式辞も真面目に聞いて、時にはその感想も聞かせてくれました。

 体育祭では、選手宣誓をしてくれた代表生徒の真剣な眼差し。校内ですれ違うたびに、ニコニコして声をかけてくれたこと。
 下校するあなたに、
「明日も元気に登校してね」と見送ったこと。
 なかには、コーヒー牛乳やドーナツをごちそうしてくれた生徒もありました。全てが私の大切な思い出です。

 私の、たいせつなあなたたちは、今日、この名古屋大谷高等学校を巣立ちます。
 私が願うことは、この世に人間として産みおとされたという事実がもっているその重さ。
 そのことに気づいてほしいということです。
 あなたが、あなたとして生きていく。
 「いのちがあなたを生きている」という、

 この現実を、それぞれに、その身に引き受けて生きていただきたいと念願することです。
 ある記事を紹介します。
 現代の社会は、いつも○か×をつける。これは人間の計らいからつけているわけで、真実からつけているわけではない。
 落ちこぼれている人はダメな人、社
会に間に合わない人は必要のない人として、世の中から排除していくかのような動きがある。
 それは人として生まれてきたことはどういうことなのかを、全く問うこともなく、自分の価値観だけで決めているからではないか。こんな問いかけがありました。

 これからは、AI技術が進んでいきます。
 このAIを使うのも人です。だからこそコンピュータに頼るのではなく、ますます私たちは真実に出遭い、この世をどのように生きていくかを問わなくてはならないと思うことです。
 真実に出遭い真実に生きる。
 このことを皆さんとともに、私も問い続ける生活をしてまいりたいと思うことです。

 

 卒業生の皆さん、どうか心も、からだも、健康に十分留意され、「真実とは何か」を問い続けて生き抜いていかれることを心より念願し、
 「式辞」といたします。




      令和二年 三月二日          
    尾張学園 名古屋大谷高等学校                   校長  梶  浦 伸  祐